『Awareness』『Folky Talkie』の2枚のアルバムをリリースした渡辺翔太トリオは、今回のステージを機に、次の章へと進もうとしている。アルバムのリリース・ツアーで初めて訪れた沖縄でインスピレーションを受けて書いた曲「Mancha」、これまでの繋がりへの感謝を込めた「Friends」、2021年の元日に書いた「金曜日の静寂」などの新曲の披露に加え、ゲスト・ミュージシャンの盟友、井上銘 (g)と初参加のMELRAWこと安藤康平 (sax, vocoder)が、トリオの世界観の拡張にどのように絡んでくるかが見どころとなっている。渡辺自身もエレクトリック・ピアノ、プロフェット6を導入し、トリオのライヴ史上、最も強烈なインパクトを与えるセットになること必至である。
井上銘にとって作曲家としての自分をアピールするバンド“STEREO CHAMP”。よくステレオでギターアンプを鳴らし、類家心平(tp)とのツインリードでメロディを作っていたことから名前がついたそのバンドは、その名の通り日本ジャズ界のチャンピオンにのぼりつめている。作曲の質が高く、テクニカルでポップなインスト・ミュージックで目指したのは、「リスナーの胸に曲を届けて、想いを感じてもらいたい」ということ。ギターヒーロー然とした井上のプレイは、このバンドにはなく、よく練られた楽曲をパワフルなメンバーと共に一丸となって演奏する。それがまさにこのバンドの魅力となっている。
様々な感情に真正面から向き合った多彩な楽曲を、聴く者にエモーショナルな余韻を残す力強いヴォーカルで届けるシンガー、ナミヒラアユコ。1月27日にリリースとなった最新アルバム『薄明光線』。「大事なものに立ち返ったり、落とされた影に対して過敏になった一年。希望を描かなくては」という強い思いから、図らずもアルバム収録曲のタイトルは「光」で溢れたという。何色もの光を放つ「Prism」、曇天を裂いて降り注ぐ「薄明光線」、真っ直ぐに悲しみと対峙した「陽炎」。日常に沸く喜びや哀しみ、寂しさ、様々な気持ちに寄り添える楽曲が詰まった『薄明光線』の世界を、アルバム参加ミュージシャンとともにライヴで描く。
カリフォルニア州サンディエゴ生まれ、鎌倉育ちのベーシスト/コンポーザー、山本連。井上銘のリーダー・バンド“STEREO CHAMP”をはじめ、様々なバンドのベーシストとして活躍する山本が、この3月に満を持して自身初のリーダー作『YANG』をリリース。アルバムにはグルーヴ感溢れるジャズやR&Bなど自身のルーツを辿るような楽曲に加え、山本自身がヴォーカルをとる楽曲も収録。今回はレコーディング・メンバーでもある、小川翔 (g)、宮川純 (Key)、伊吹文裕 (ds)という古くから共演を重ねてきた盟友たちとステージに立ち、グルーヴィでソウルフルな山本連の音楽を示す。新世代のグルーヴ・ベーシスト、山本連が自身のリーダー・プロジェクトで刻む、新たな1ページとなるだろう。
ReBorn Wood Label SeriesのVo.05として行なわれる予定でした「泉川貴広」公演は、アーティストと協議のうえ、シリーズ期間中の開催を中止することとなりました。公演を心待ちにされていた方には深くお詫び申し上げます。
【 Message <泉川貴広> 】
アーティストからメッセージが届きました。
アメリカのメジャー・レーベル"Ropeadope"からデビューを果たした注目のピアニスト、泉川貴広。現在はNYをベースに音楽活動を展開し、現地のミュージシャンたちと交流を重ねている。昨年はクリスチャン・スコット、スナーキーパピーらを輩出している最重要レーベル"Ropeadope"からアルバム『Life Is Your Thoughts』をリリースし、竹取物語を題材にした楽曲など、日本人ミュージシャンとしてのアイデンティティをジャズやヒップホップ、R&Bに反映した作品で注目された。NYの地で肌感覚で味わってきた現在進行形のジャズと、日本人らしい感覚をクロスオーバーさせた泉川の音楽は、新世代の音楽シーンを切り開いていくだろう。
今年の2月、ReBorn Wood Label Seriesの第一弾として登場し、見事な幕開けを飾った渡辺翔太トリオが、本シリーズを締めくくるファイナル公演を行なう。これまでにリリースしている2枚のアルバム『Awareness』『Folky Talkie』では、NYやイスラエルの現在進行形のジャズに通じる作曲センスと音楽性で、世界基準のジャズを体現し、日々のライヴでさらに進化を遂げている彼ら。今回はお互いの楽曲やライヴに参加し、普段から親交のあるモノンクルの吉田沙良(vo)と盟友の井上銘(g)を迎え、豪華メンバーとともにシリーズの集大成を飾る。