ケニー・バロンの音はここでもあの音だった。
柔らかく、そして饒舌なあのタッチとサウンドはきっと様々なエフェクト(化粧)により作られたものに違いない。真実の姿はどのようなものだろう・・・
そんな先入観もあり聴きにいったコットンクラブのケニー・バロン feturing 北川潔&フラシスコ・メラ、であるが、驚いた。
やはりケニー・バロンのタッチとサウンドはどこまでもあの音だった。晩年のゲッツとの名盤、あまりにも美しい作品である−People TimeやAnniversary!−あの名盤のそのままのサウンドとタッチが目の前のライブで繰り広げられていたのである。
涙が出るくらい感動してしまった。
演奏は、バロンが作り上げるフィールドで北川潔(ベース)とフランシスコ・メレ(ドラム)が遊んでいるという感じか。遊んでいるといってもそこはNYのファーストコールのメンバー達である。素晴らしい高度な演奏を軽々と繰り出しているのである。二人は高度なテクニックを駆使し、それでありながら軽々と−蝶のように舞っている。そう、蝶のように。
その蝶たちの花畑として、重鎮バロンの作る演奏全体のカラーがあるのだ。
こんなすごい演奏をここ東京で聴けるとは・・・今年はじめ、最初の感動である。
40代 男性 埼玉県
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