今も幅広く愛され続けるBill Evansとの共演作からJim Hallの存在を知ったもののギ
ターよりピアノの響きに魅了されてしまったために実はこれまでJimさん名義の他曲
を聴くことがありませんでした。
今回たまたまJimさんの一夜限りのソロ・ライヴがあるということで彼のギター・サ
ウンドに耳を傾けるには好都合と足を運びました。
当たり前のことながらギターの巧さは申し分なく、音色も温かみがあって「オレはこ
ういうのが好きなんだよ」という声が客席から漏れ聞こえてきそうな選曲、そしてア
レンジのセンスの良さも心地良く、あの時代の雰囲気をうまく今に甦らせていまし
た。それでいて懐古趣味的ではないのがまたいい。
途中からプロデューサーのBrian Camelioさん[ex. the founder of ArtistShare]が
サポートとして加わり、静かに落ち着いた雰囲気の中で一連のナンバーを奏でます。
やはりJim Hallの音を味わいたいのであればやかましいドラムはいらない。理由は当
然ながらガラッと雰囲気が変わってしまうからです。
貴重なるソロ公演に立ち会えたことは存外の幸せでした。
おそらく誰もが水面下にふわふわと漂う「Under Current」ジャケット写真の如く酔
いしれていたのではないでしょうか。
40代 男性 神奈川県 高樹 巡
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