楽しみにしていた昨年７月の公演が震災の影響で延期になり、１０月のライブは都
合が付かなくなり、二度と聴けないのかとガッカリしていたところにこの公演、
YUSA！ありがとう、コットン・クラブ様。

　ＣＤより少し太くてハスキーな歌声に魅了された。
　トリオ編成のバンド（ベース、ドラムス）が完璧に噛み合い、伝統的なキューバ
ン・リズムとはひと味違ったソリッドな変拍子とYUSA自身の巧みなコードワークが、
最小単位とは思えないカラフルな音色を紡ぎ出していた。
　歌姫と言うより、ミリオンダラー・ベイビーのヒラリー・スワンクを彷彿させる
男っぽい身のこなし。そこから発せられる歌とサウンドは清楚で、うっとりするほど
繊細。叙情的なメロディーと対照的に煽るリズムは、カエターノ・ヴェローゾを思わ
せ、複雑で深みのある世界を広げて見せてくれた。
　YUSAのベースフィンガリング的なギター・ワークは、必要最小限な音しか出してい
ないのに、豊かで温かかく、聴き惚れてしまった。ベースのダイナミックなうねらせ
方もさすが！と感嘆させられたが、アンコールで弾いたトレスギターのうまさにびっ
くりした。
　ああ、これが今のキューバの音なんだな、と１時間余りがあっという間に過ぎる至
福の時だった。
　私にとって、このライブは、今年上半期のベスト・ライブになると思う。

　ここで、コットン・クラブにお願いしたいこと。
　この数年、キューバのアーティストでどうしても聴きたい・観たい２人がいます。
それは、 これぞ歌姫のHaydee Milanes （彼女のCuando pasas tuという曲を聴いて
欲しい）、キューバン・ヒップ・ホップ姫 Telmary です。
　ぜひぜひ、呼んでください。

　追伸　昨年9月の「BOOKER T. JONES」　がとても良くて、「STAX! featuring STEVE CROPPER, DONALD"DUCK"DUNN & EDDIE FLOYD」に行きたかったんだけれど、用
事があって行けなかった。そうしたら、コットンクラブの日本最終公演直後にホテル
で亡くなっていたという記事を目にした。本当に、ドナルド・ダック・ダンの最期の
ライブを見逃して悲しかった。ご冥福をお祈りします。