COTTON CLUB
Live Report
2017年12月 1日 1st show
RON CARTER 80th BIRTHDAY : QUINTET featuring KENNY BARRON, ANTONIO HART, DONALD HARRISON, BILLY DRUMMOND

"Nearly"は、ベースとピアノのイントロから始まった。サックスが展開するゆったりとしたソロを、三人のリズム・セクションが熟練のタイム感覚でサポートしていた。
一曲目にふさわしい厚みのある演奏だった。

Ron Carterによって、彼の旧友であるドラマー、Ben Rileyとその子供に捧げられた"For Toddlers Only"では、Antonio HartとDonald Harrisonがアップテンポなソロを繰り広げた。

後期The Jazz Messengersの立役者、Donald Harrisonは、ビブラートや高音など、自身の持ちうるテクニックを存分に生かしてメロディアスなソロを展開していた。
メンバーの中で最も若いAntonio Hartは、耳馴染みのいいフレーズを残しながら、ストーリー性のあるソロを繰り広げていて聞き応えがあった。
終盤のアルトサックス同士の掛け合いは最高だった。お互いがお互いのフレーズを聴き合い、互いに真似をしたり、的確な味付けをしたり、エンターテイナーとしての一面を見ることができた。

バラード"No Flowers Please"では、Donald Harrisonがソロイストとしてフィーチャーされた。
トラディショナルなニューオーリンズ・スタイルからアヴァンギャルドまで、様々な顔を持つ彼のテクニックはバラードでも発揮されていた。
特にアウトロでは、観客の意識を彼のサックス一点に集中させるほど情熱的な演奏をしていた。

"Ah, Rio"ではBilly Drummondがハイハットを駆使してベースのソロをサポートしていた。
ボサノバを基調とした軽快なドラム・ソロからは、彼の熱いフィーリングが伝わってきた。

Ron Carterが一人、ステージに取り残されると、ベースによる即興演奏が始まった。
高音から低音まで幅広い音域を駆使して、時折エチュードのようなフレーズやベーシストRay Brownが好きそうなフレーズを使いながら、表情を変えていた。
途中J.S.Bachの"無伴奏チェロ組曲 第1番"をソロに取り入れていた。
10歳からチェロを始めた彼だからこそできる多彩な演奏だった。

終盤には"All Blues"や"Footprints"といったMiles Davisの曲から聞き覚えのあるフレーズをソロに取り入れていた。彼が自身の過去を回想しているようで考え深く、聞き応えがあった。

"Cut and Paste"でもサックスのソロは炸裂していた。Kenny Barronのアドリブは、ツーコーラスがソロ・ピアノでRythm Changeに乗せて抜群にスウィングした演奏を繰り広げていた。

最後にアンコール曲として選ばれたのは、Ron CarterとKenny Barronによる "My Funny Valentine"だ。Ron Carterは過去にCedar WaltonやRenee Rosnesといったピアニストと、この曲をデュオで演奏した経験がある。
その中でも、今回の演奏は僕の一番のお気に入りだ。Kenny Barronの独特のタッチが奏でるメロディには、類稀な美しさがある。
一人一人の今後の活躍から、ますます目が離せないと感じた。

 男性 東京都
jazznao
ライブ・リポートをお送り頂き誠にありがとうございました。
COTTON CLUBオリジナルグッズをお送りいたします。

皆様のライブリポートを大募集

© COTTON CLUB JAPAN, INC. All rights reserved.