「ヴァレンタインの夜を彩るスペシャル・ライヴ」と銘打っての公演は思っていたよりも少々高めの年齢層。
おそらくは長年良い音源をお聴きになってこられ、本物を知っておいでの方々なのだろうとお見受け致しました。
そういう意味ではAliciaを「知る人ぞ知る」で日本での認知度は低いのかもしれませんが評価は高いのだろうと思います。
無論、オバマ前大統領の二度目の就任式(2013年)に聖歌隊として参加した映像で唯一スタンドマイクを宛がわれていたことからも本国においての評価の高さは一目瞭然でしょう。
さて前回Billy Childsに帯同しての来日を果たし、今回がAlicia名義としておそらく初となる来日公演。全日程通い詰めての観聴は、二日目に曲順を一部替えた程度で演奏曲目は変わらずでした。
リズム隊も専属ではないだけに時おり浮足立ちちょっとしたミスなど見え隠れするところもありましたが、節目節目のAliciaの片言の日本語を交えてのMCが場内を沸かせ、進行していく毎に気にならなくなりました。
オープニングナンバーは新作CDの1曲目にも収録されている「SO GOOD SO RIGHT」。
Brenda Russellと違い、低音でしっとりと歌いあげていき、その表情も秀逸!
drumsのXavier Breakerは力技でねじ伏せて行くタイプとは違い、小気味好いアクセントを醸し出し、何とも言えないビートが心地よさを増幅させてくれました。
続く「CHEROKEE LOUISE」もJoni Mitchellのカヴァー曲ながら芯のある力強い声音で聴かせてくれました。pianoのJosh Nelsonは故Natalie Coleの専属だっただけに鍵盤を紡いでいくスタイルは華麗で、バランスよく上手にまとめ上げていく様は格別でした。
新譜からの曲だけで構成された本公演は楽しそうに歌うAliciaの姿とは対照的に肝となるbassのDane Aldersonが弱々しく、少しがっかり。その点を補う意味でもできればChorusを帯同して欲しかったです。
※初日受付時に「Alicia本人から」とサイン入りの新作CDを渡され、頭に疑問符が浮かびましたが、アルバム制作に出資していたことを失念しておりました(サイン会時にAlicia本人から説明を受けて思いだした次第)。
男性 埼玉県 高樹 巡
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