＜スウェーデン・ジャズ・ウィーク 2024＞
PETER ASPLUND presents Special Sweden Night
Peter Asplund ASPIRATION with Karin Hammar, Filip Ekesutubbe and Emmalisa Hallander

ラーシュ・ヤンソン、ウルフ・ワケーニウス、イザベラ・ラングレンを始めとするトップ・アーティストが来日して、スウェーデン・ジャズの魅力を存分に伝えてくれた昨年のイベントが、今年は新しい顔ぶれで実現する。キャリアと実績で中心人物となるペーター・アスプルンドは同国を代表する正統派ベテランで、特別編成のユニットではトランペット・プレイがたっぷりと味わえるに違いない。姉妹トロンボーン・チームのスライディング・ハマーズとして日本での人気を高めたカリン・ハマーがツアー・メンバーに入ったのは朗報だ。近年はリーダー・プロジェクトのFab4で活躍するばかりでなく、ビッグ・バンドでも欠かせない実力者として活動範囲を広げているだけに、姉妹チーム時代からさらに進化したパフォーマンスが楽しみだ。カリンはアスプルンドの最新作に参加している。 個人的に最も期待を寄せているのが、初来日のエマリーサ・ハランダー。24歳のシンガーはアスプルンドのツアーに参加し、ストックホルム・ジャズ・オーケストラと共演。昨年発表のシングル「ホワット・ウィ・ニュー」はアスプルンドと今回のツアー・メンバーでもあるピアニスト、フィリップ・エケスチューベの２人とのコラボで、MVはモノクロ映像ゆえにエマリーサのクール・ビューティが際立っており、ノーマ・ウィンストン作詞の楽曲世界を個性的に彩る姿が印象的だ。さらに初リーダー作『Have a Look Inside』を聴いて驚いた。スウェーデンの女性シンガーの系譜に連なる清涼感を表出する声質の持ち主であることに加え、スキャットを得意とする技巧派の一面もあることが明らかになって、正統派との両刀を目指す姿勢が収穫。動画サイトにはコンボやビッグ・バンドでアスプルンドと共演するライブが公開されているので、ぜひ視聴してほしい。今、スウェーデンで最も将来性が豊かな女性シンガーを、日本にいながらにして間近で堪能できるこの好機、ヴォーカル・ファンなら絶対に見逃せない。(杉田宏樹)